同人誌と商業出版の違いを比べてみた【本を書いてる舞台裏④】
目次
同人と商業の違い(本の中身)
さて、ここでは書籍の原稿を書いている中で「こういうところが同人誌と違うなあ」と感じたことを挙げてみます。スピ的な要素皆無な記事ですが、創作とか出版に興味がある人には結構有益な内容なんじゃないかなと思います。
これ書くだけで5000文字超えてるんですが、ただただ語ってるだけのブログです。お暇なときにどうぞ。
テーマを決めてから書く
同人誌ではこれまで自分が書いた(描いた)ものを再編集する方式で作っていたので、書いたものを後から見直して「こういう共通点があるものを一冊にまとめよう」というふうに考えています。
対して、今回の本の執筆は明確に先にテーマがありました。「守護霊」です。これは守護霊あるあるの漫画が割とみなさんにとって興味のあるテーマであることと、私の中にすでにある程度引き出しがある内容だということから決まりました。とても理性的な決め方です。
『その瞬間の自分にとって興味のあることを情熱に任せて書き殴る!』の執筆スタイルではないのが、何よりの違いだと思いました。趣味っぽさよりも仕事っぽさが強くなります。自分のメンタルやテンションにさほど左右されずに安定的にアウトプットできる内容は、商業に向いてるんだなあと思いました。
幸い、守護霊に関する内容は霊視カウンセリングでも日常的に触れていますし、自分にとってはどんなコンディションでも知識としてアウトプットできる内容なのでとても商業向きでした。
「初心者フレンドリー」の塩梅を教えてくれる
性格上、ついつい突っ込んだところまで書きたくなったり蛇足的なことを書いたり「これを説明するにはまず宇宙の法則の仕組みから説明しないといけないな」みたいなややこしいところを入れたくなってしまうのですが、そんなん誰も読みません。
同人誌やブログを書くときの私は「ついてこれる人だけ来てくれたらOK」をモットーに突っ走っていたので、これまで突っ走らない方法を知りませんでした。
ここは突っ走っちゃってるよ、ここは蛇足的だよ、そもそもこれは一般的な用語ではないよ、まず前提から教えてくれ、……そういうことを教えてくれる人が周りにいなかったので、編集さんが私にとっての盲点を教えてくれたのがとても嬉しかったです。
純粋に「ほあ〜〜〜そうなんだ〜〜〜」と思いながらフィードバックを聞いていました。
また、個人的にありがたかったのは編集さん個人にスピリチュアル的なことに詳しい方ではなかったということでした。過去に何冊もスピ本を出しています!という編集さんだったら、きっと基本的なところが前提になっているから初心者フレンドリーにするのは難しかったかもしれないな、と。
それと、編集さんも一人の人間であり、人として人生観や世界観を持っていらっしゃるはず。スピに詳しすぎるとどこかでその世界観や考え方がバッティングするかもしれなかったので、いやむしろあんま知らない方がありがたいです!って気持ちでした。
チャートや表を作ってくれる
えっ、チャートとか表とか図とか作ってくれるの?!やったあ!
チャートを作ってくださる専門の方に依頼して作ってくださると。なんか知ってる!他の本とか雑誌で見たことあるう!!
自分の制作物に他者の手を入れる、というのを今までほとんどしたことがありませんでしたが、こういうのをお願いできるのはシンプルにメリットですね!
同人誌は良くも悪くもひとりで全部作ります。内容を考えるのも書くのも印刷できるようにデータを整えるのも、全部。それはこだわりを追求できる道であると同時に、自分の枠の中だけで完結するため必然的に「限界」と直面します。
こうやって自分にはなかった発想を取り入れたり、他の方のスキルをお借りしたりできるのはシンプルに楽しい。知らなかった世界を垣間見るのはとても楽しいのです。
- 診断チャートを作ってくださった方: 章月綾乃さん
- https://x.com/shzk15
ブックデザイナーさんも入ってくれる
ところで、装丁(表紙とか)のデザインをするブックデザイナーという職業をご存知でしょうか?
編集さん「そういえば、ブックデザイナーにはこちらの方にはいっていただくことになりました」
- 装丁デザイン: 井上新八さん
- https://x.com/shimpachi
ぱっ。鼻血出た。ベストセラーごりごり出してる方やん。
私(こんな赤子ばぶぅのような私の本担当してくださるんですかいいんですか?!いや逆か?!ばぶぅにはこれくらいのつよつよベテランが脇をかためねぇといけんっつーことか(?))
また、本文のデザインもしてくれました。読みやすいように整えてくれるんです。
本文デザイン: 竹内典子さん
同人誌をpagesで作ってやりにくさに撃沈したり、wordで作ったら貼り付けた画像が変なところへ飛んで行った(?)ことがある身としては、涙が出るほど嬉しいのです。マッッッジで大変だったのよ、この作業。同人誌を出すときに唯一「やだな……」って面倒くさくなる作業がここなんですよわかりますかみなさん(熱弁)。
この作業から解放されることのありがたさが身に沁みます。
校正してくれる
私の同人誌を手に取ってくださった方はご存知かと思いますが、誤字脱字が!出てしまうんですどうしても!
不思議なもので、原稿の状態だと誤字脱字なんて無いのに製本するとなーーーんか誤字脱字が生まれちゃうの。なんでかなぁぁ?____きちんとチェックしきれてないからです。ええ。
自分で自分の原稿をチェックするのに限界を感じていたため、プロの校正さんが入ってくれるその心強さたるや……!あと表記揺れとかそういうのも整える提案をしてくださるのは大変心強く嬉しいです。拝む。拝みますよ私は。
同人と商業の違い(中身以外)
製本してくれるし、在庫とかも管理してくれる
同人誌は、内容を書いた後にデザインに落とし込んで、イラストとかを挿入して、表紙のデザイン組んで商品サイトの更新して印刷業者に発注して______みたいなことを自分でやります。全部好みにしてこだわれるけど、その反面、作業に労力と時間を費やすことでもあるので一長一短です。(内容よりもその辺の調整の方が大変だったりします)
あと、実際に本が刷り上がっても別に倉庫を契約しているわけでもないので在庫は全て自分で管理することになります。発送したりするのも自分です。オール自分でやりたがりな性格なので、それも楽しみの一つなんですが、やっぱり、時間はかかる。
そこのところを出版社さんに担ってもらえると中身に集中できるので、純粋に楽です。
私に入る金銭的利益は低い
私の同人誌は元々価格帯が高めです。これは「ブログとか読んで気に入ってくれた人で、お金に余裕がある人が買ってね」のスタイルゆえなのですが、商業出版は中身を読めるのは買ってくれた人のみです(当たり前)
商業出版の価格帯は、みなさんが普段書店で見るとおり。そして私の懐に入るのは印税分なので、大体定価の5〜10%くらいと思ってください。
仮に定価が1800円として、一冊売れると90〜180円ですね。同人誌では設定価格の半分くらいは利益が出るようにしていますので____私にとって金銭的な利益が出るのはどう考えても同人誌です。
ま、それは承知の上でやってるので全然いいんですけどね!金銭的な利益というよりは「最初の一冊として読んでほしい本を書く」を私にとっての最大の利であるとしていますので、そこの目的は達成されているので問題ナッシング。
あと、上記のような編集さん、チャート制作してくれる方やブックデザイナーさん、校正さんが作業してくださったりそもそも印刷などのリスクをすべて出版社が持つので、そう思うと「そりゃそうだよな」って感じです。
ネットウケと書店ウケの違い
ここからは主に本の売り方(マーケティング)の話になりますが、これまで私はSNS中心の売り方しかして来なかったので書店流通の常識をまるで知りませんでした。
考え方とか、手に取ってくれる人の層の違いとか……聞けば聞くほど目から鱗で「その視点なかったわ〜〜〜」の連続。まるで子供のように「え!そうなの?!なんで?!なんで?!」と聞きまくったので、ちょっとめんどくさい人になってたかもなあという自覚はありましたが、その都度丁寧に説明してくださったので大いに甘えました。初めて知ることって面白いですよねえ。今後の何かに活かせるかなあ。
タイトルと表紙は編集部主導で決まる
さて、本にとってタイトルと表紙ってどんな位置付けの存在でしょう?消費者と作り手との間で、ここの認識に決定的な違いがあると思っています。※あくまで持論
消費者: それがどういう内容の本なのかの要約であり、本全体をあらわす顔のようなもの。
作り手: 本を売るための広告でありキャッチコピー。本を買ってもらうための理由づけ。
……似たようなもんじゃない?と思うかもしれませんが、明確に違います。そしてこれこそ!同人誌と商業出版の大きな違いでもあると考えています。
出版社は、お仕事で本を作っています。売り上げがないと究極的にはそこで働く人のお給料に響きます。それはまずい。すると必然的に、売り上げを立てないといけません。損益分岐点を超えてちゃんと利益が出るのが理想です。※損益分岐点:⚫︎冊以上売れないと赤字だよ、のライン
それにはある程度の冊数売れないといけない。そのため消費者が買うためのきっかけとなるタイトルと表紙は編集部が決めます。
もちろん私も案を出したり「こういう方向性どうですか?」「これはいや」みたいなことも言いますし、意見は聞いてもらえます。ただ、決定するのはあくまで編集部です。……まあ、そりゃそうだよね。だって印刷費人件費プロモ費もろもろを受けもってるのは会社側だもんな??
私は金銭的にノーリスクなのですから、案を聞いてもらえるだけありがたいというもの。売り上げに直結する部分はそりゃ決定権もつよね。私がもし出版社側だったらそうするもん。
それに、出版社側にリスクを負ってもらっている以上はさすがに損益分岐点は超えたいです。せっかく関わってくださる企業さんに赤字を背負わせるのは嫌だ。それはほんとマジで。
たとえば、1000冊売れたら損益分岐点を超えると仮定します。単純に計算して、1000人に手に取って購入してもらうことになるわけです。でも、1000人買ってもらうためにこの本の存在を認識する総人数が1000人で済むはずはありません。
なぜか?本のことを知ったからといって、買うかと言われたら「別に?」ってスルーする人が大半だからです。
ものが売れるには、まず存在を知って→興味を持って→手に取って→買う、このステップを踏むことになるんですが、本の存在を知ってくれた1000人のうち、このステップをすべて通過してくれる人ってきっと10人くらいじゃね?
ただ、1000人のうちにこの本を必要とする人が100人いた場合、この「→」のところで離脱する人が90人いるのは、双方にとって損です。だから、必要な人にはなるべく「→」を通過して欲しいからそのためにどうしよう?という考えます。
①存在を知って→興味を持って:まずここの分母を大きくする
②興味を持って→手に取って:ここのハードルを低くする
③手にとって→買う:「必要か必要ないか」は買う側がジャッジする
このうち、①②は編集部が主導です。
③はぶっちゃけ買う側の問題なので、どうこうできません。ていうか、ここをどうこうしようとすると押し売りみたいになるので、干渉すべきではありません。なので、私が主にできたのは③のところで買う側に需要を誤認させないように表現を気をつける、というところでした。
(※今までの私はスルーした90人分の機会損失については「それは私の問題じゃなくて消費者側の問題っしょ。てかそれは消費者側の高次さんや守護さんが頑張ってくれ。てかガチで必要ならそこは守護さんがんば!」と思っていました。そこまで親切にはしないよん〜スタイルでした)
「その表現はやめてくだちい」
出版社は売り上げを立てる必要があるというのを十分理解した上で、「どぉおおおおしてもこれだけはやめてください」というポイントだけはお願いすることにしました。
私(すでにブログや同人誌でも書いてるけど、ラフマドさんの言ってる『こういうマーケティングの言葉は要注意』の指針は死守したい!)
↑このブログに書いてるよ
興味を持った人が「これ自分に必要かも」と誤認させるような売り方にはならないように…!平たく言えば「箱白の普段やってることと今回の書籍でやってる売り方が矛盾しないように」って感じのことをとても気を使いました。解釈違い起こしちゃうのだけは避けたいいいい。
ただ、ここで何より難しかったのはこの事情をどうやって編集さんに伝えるか、ということ。普段の私は方針決定の際に現実的なことは考えつつ、最終的に決定打となる論拠はラフマドさんの『無限の定理』に即しているかを重視しているのですが____
【無限の定理】
必要なものに、
必要な分だけ、
過不足なく、絶対に存在する。
ラフマドさん、とか普通にいきなり書いてますが実体のないエネルギー体であり高次の存在であり私が脳内で認識しているだけの存在ですので、一般的にはこれを空想上の存在と言って差し支えないでしょう。………。
私(____意見の根拠が具体的な数字やロジックではなく思いっきり思想!しかもその思想に典拠があるのかと言われると、いいえ私が脳内で認識した存在に言われました、ていう……このあたまスピ野郎!それは現実世界の会社では通用しねえよ!ただの主観だよ!!)
直接担当してくださる編集さんならワンチャン理解してくださるかもしれないけど、多分社内の会議とか偉い人の承認を得るのは無理だ!誰だよラフマドさんって、ってなる!
……現実的なところにフォーカスしながら理由を説明するのは大変でしたが、これぞ私の仕事の真髄。高次の事情と人間側の事情の間でふたつが両立するように頭をひねるのが私の役目なのですから。

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