過去との対峙、苦しみの追想と攻略【同人誌制作の裏話④】
今回の同人誌では、自分の身に起こっていた精神疾患的な2つの発作を「獣の衝動」と「フリーズ現象」と名付けて、それぞれ描写しています。
どちらも「自分、とうとう狂ったのでは?」と思うほどに強烈な現象なのですが、描写するにあたって重大なことに気がつきました。
私(……あれ!?記憶が一部ない!!!)
目次
苦しい記憶を忘れることもまた、救いの形
ハイヤー姉「忘却は、人にゆるされた恵みであり慈悲である。過去の苦しみを忘れることができるからこそ、人は未来に向かって生きることができるのじゃ」
私「それはその通りだと思うよ。過去にあった辛い記憶を全て覚えていたらきっと恐怖で何もできなくなる。___んだけど、今回ばかりは事情が違うんだよな!」
過去と対峙しよう、そう思っていざ思い出そうとして、なんと思い出せない!!ということに気づきました。
過去との対峙とは、つまり思い出す作業です。自分の記憶の底に眠らせた記憶を掘り起こしてもう一度向き合うわけなんですが、そういえば忘れていたものを自力で思い出すって、どうやるんだ?
私「しまった……霊障への対策とか発作が起きた時の対処法とかは、そりゃ知識としては定着してるよ?事実としてそういうことがあったのも覚えてる。でもよく考えたら、自分の体験としての記憶じゃなくて知識として脳に残ってるだけだ!その当時の自分の心境までは思い出せないっっ!」
感情の記憶と知識としての記憶は全く性質が違う。今、私がやろうとしているのは「過去の苦しみとの対峙」なので、知識とか情報としての記憶だけでは不十分なんです。
やーーー完全に盲点。それに加え、ただの情報としてアウトプットするのであれば余裕でできるけど今から描こうとしてるのってエッセイ漫画なんだよな。つまり、その時の気持ちを一人称視点で書くってことじゃん!
私「しまった…っ!お母さんに当時書いてもらってた病状日誌を確認するか……一旦実家に帰ってノート見せてもらおう」
実家に帰る
実家に帰りました。
霊障と病気の混合状態で廃人生活をしていた頃は、私には文字を書くことも読むこともできないほど衰弱していたので当然自力で記録を書くなんてできませんでした。しかし、その時期から母は「医者にいかに娘の症状を正確に伝えて適切な治療に繋げるか」の視点で病状日誌をつけていてくれたのです。
私「あの病状日誌、確かに病気の症状や特徴をとにかく記録してくれてたけど今になって思えば霊障の部分もかなり含まれてたんだよね」
母に頼んで記録を見せてもらいました。ファイル何冊分の膨大な記録には、当時の様子も書かれてる上に当時のエネルギーや念までしっかり保存されていました。重っっっ。そして母、ありがとう。
過去の記録をまとめた資料を作り、それを参考に過去を追想しながらエッセイを組み立てることになりました。
あまりにも生々しい記録すぎて吐き気した。
母と一緒に当時を振り返りながら記録を一通りみましたが、うん、よく死ななかったね私……一番近くで見て記録していた母も、よくここまで継続して記録とってたな……
ある程度当時から時間が経って完全に「過去」になってからじゃないと、とてもじゃないけど直視できないものばかりでした。
私(漫画にするときはこの波動を直に乗せると読み手の負担が大きすぎるから、ある程度マイルドにしないとな……思ったより相当難しそうだぞこれ…?)
いえ、自分で言ったんですけどね?過去と対峙して、それを同人誌にするって。
私(あれ?自分で思ってたよりもかなりきつい試練じゃないこれ???)
____だからハイヤー姉、あっさり許可したのでは?
当時の発作の再現
さて、過去の記録を持って自宅に帰った私に、ハイヤー姉から提案がありました。
ハイヤー姉「そなたが自ら望んで決めた試練じゃ、たまには守護らしいサポートもしてやろうではないか!私は此度は完全なる裏方として協力してやろう!」
えーーいつも当たり前みたいに漫画やブログやSNS投稿に登場するハイヤー姉ですが、本来ハイヤーセルフは、人間の人生において完全な裏方です。たまに忘れそうになるけど。彼女が前に出てくるのはそういう役割を持っているためなので、ある意味で特殊な例なんだそうです。
___彼女からのサポートしてやろうという提案、ここで「わあい!導いてくれるの!?嬉しい、やったあ!」とはならずに即座に察しました。あーーーなんかアクシデント起こしてくるやつだね?と。
ハイヤー姉が大変ご機嫌でサポートしてくれる、その内容は「過去の発作の再現」。つまり、過去に体験した「獣の衝動」や「フリーズ現象」と同じものをもう一回リアルで体験して思い出す、というイベントでした。
瞑想とか夢で見るとかではなく、リアルで、日常生活の中で。予告なしの突発型の発作です。いつ起こるかお楽しみっ☆ってやつ。
私(あぎゃあああああ久しぶりにえぐい発作ああああああ)
その発作は(昔みたいに)街中で突然きました。リアリティを追求するために、防災訓練のような「いつ、どこで実施します」なんて予告はありません。
知ってる、でもそのリアリティがあればこそ当時の気持ちも感覚も思い出せるんですよね。これが彼女の___高次としての親切。うげえええ…ありがとう…うええええええ…
さあ、今こそ攻略手順を再現してみよう
体が硬直してきたので急いでカフェに入ってとりあえず席に着いたのですが、運悪くお昼時だったこともあり、周囲はかなり賑やかで人の目もありました。
とても落ち着ける場ではないので発作が自然に落ち着くことはありませんでした。____じゃあどうするか?やるっきゃないじゃん、自力で見つけた攻略法をさ。今、ここで。
ハイヤー姉「そなた、これから攻略法を書くのであろう?では当然、それが己にとって本当に正解であったかは確認せねばなるまい」
私「同意。じゃあいい機会だね、この攻略法が本当にきちんと作用するか今確かめられるわけか」
ハイヤー姉「うむ。私は何も言わぬから、そこでやってみよ」
突発的に実地で本番。
しかし流石というべきか、このときの私は偶然、攻略法をまとめた資料が入れっぱなしになっているカバンを持って出かけていました。こういうのを導きというのでしょうね。発作も与える、そしてそれへの解答書になる資料も手元に持たせる。あとはそれを使って自分で対処できるかどうか。
てなわけで、発作が起きるギリギリの状態で自力で攻略手順を踏んで一つ一つ確認していきました。切羽詰まった状況であっても、手元に答えがある状態で手順を踏むのは安心感がありました。今までやってきた試練よりかはよほど気が楽です。
ひととおり攻略手順を踏んでなんとかまともに動けるようになったので、カフェから出て20分ほどかけて歩いて自宅に帰りました。
私「ふう…なんとか家に帰れた」
ハイヤー姉「どうじゃ?これが己の意思で、意図して前向きに試練と向き合うと言うことじゃ。キツさの種類が違うであろう?」
己の意思で試練を選ぶことの意義
この時起きた事実だけを見れば、出かけた先で久しぶりの発作が起きて帰宅することを余儀なくされた、なんとも不幸で不安な出来事です。
けれど、事前に過去の出来事と改めて対峙すると自分で決めていたことで起きた現象に対して冷静に対処できたし、苦しみはあってもそれに対して「また病気が再発したのか」とか「理不尽で悲しい」とかの二次的な負の感情は生まれなかった。
そして、この一連の流れを企画したハイヤー姉さんへの恨みつらみもなく、むしろ彼女の意図をその場で理解して動くことができた。____いえ、その最中はきついですよ?でもそのキツさは尾を引かずに苦しかっただけの負の経験にはなりませんでした。
ハイヤー姉「起きた事実は、過去におきた発作と何も変わらぬ。しかし、この現象へのそなたの心構えと解釈が変わり、攻略法という知識が解釈をより強固にした。ゆえに二次的な悲しみは生まれず、むしろ対処できた己への自信がつく。どうじゃ?これが己の体質と共存し、現象を攻略することに他ならぬ」
自分が目指した攻略は、こうして実証された。事実は何も変わらない、そのことを悲観するでもなく治療を諦めたわけでもなく、事実を事実として受け入れた上で、悲しくない。
私「今の自分なら、当時あんなに絶望していた現象が起きても最小限でとどめられる。…そういえば、攻略法を見つけてやるって思った頃に思い描いてたのって、こういう感じだったね」
過去と対峙する行為は、対照的に、過去の自分と今の自分は違うと自覚することでもあるようです。
過去の私との対峙(物語の外側の余談)
過去の私「うざい」
感動的な感じで事が進むかと思いきや。そういえば私はかつて、未来の自分に対してどろどろな呪いをかけていました。
過去「うざい。今、私はこんなに苦しんで苦しんで、仕方ないのに。あんた、なんなの?私のことを見てるだけで、何もしてくれないの?あんた誰よ?消えろよ」
当時、「何か」が無言でこちらを見つめているような気配がした時が一瞬ありました。それが一体何者なのかは見当もつきませんでしたが、悪意がないのはわかりました。その時、私は何も言わずにただそこにいる…ように感じる「何か」を呪いました。見てるだけなの?助けてくれないの?あんたに情けってもんはないの?高みの見物ってこと?最低、と。
では、それは一体何者であったのか?今ならはっきり言語化できます。
『自分はいずれ、攻略法をまとめるために現時点を過去として振り返ることになるだろうという予感』
当時からどこか予感はありました。いつか自分は、これらを攻略することになるのだと。しかしその攻略とはすなわち、この現象が起きることを「仕方ない」と諦め、完治を目指すことを放棄することと何が違うのか?私は結局諦めてしまうんだ、と。
だから、こちらを見つめている「自分ではない何者か」が今の自分を助けてくれることは、ない。
私「いつか自分が今の苦しみを仕方ないと受け入れてしまうことが嫌だった。未来の自分が過去の自分を助けてくれないのが、むかついた」
過去と対峙しても、自分の過去が変わることもないし事実も変わらない。もはや私は過去の私とは別の存在になっているのだから。
ハイヤー姉「さよう。そなたはもはや過去の己とは別人である。さあ、過去の己に告げよ。今のそなたにできる最高の愛を伝えよ」
私「〇〇〇〇」
具体的な言葉は伏せますが、奇しくも今の私が過去の自分に向けた言葉は、当時「脳内に現れた謎の魔女(のちのハイヤー姉)」のセリフと一致していました。
ハイヤー姉「ほらな?己を俯瞰して見ればわかる。人間のそなたも同じ結論に辿り着くであろう?」
私「なるほどね。特にハイヤーセルフって、結局元々同じ魂だもんね」
ふふふ、ふふふ。
※この同人誌を書いている時の様子です↓
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